シェーグレン症候群の検査と治療
涙が出にくくなるドライアイや、唾液が出にくくなるドライマウスは、健康な人にも時折現れる症状なので、シェーグレン症候群であるかどうかを見極めるには、検査をしてみる必要があります。
シェーグレン症候群であることが判明した場合は、適切な治療をすることによりつらい症状を抑えたり、進行を止めることができます。
シェーグレン症候群の診断基準
シェーグレン症候群であるかどうかの診断基準が、1999年に厚生省で改定されました。
以下の4項目の中で2項目以上が陽性であればシェーグレン症候群と診断されます。
- 抗SS‐A抗体か抗SS‐B抗体が陽性である
- 涙の分泌低下がシャーマーテスト、ローズベンガル試験、蛍光色素試験などで証明される
- 唾液の分泌量の低下がガムテスト、サクソンテスト、唾液腺造影、シンチグラフィーなどで証明される
- 口唇小唾液腺の生検組織でリンパ球浸潤がある
シェーグレン症候群の検査
シェーグレン症候群の検査では、厚労省の診断基準に従い、血液検査や涙の分泌を見る検査、唾液の分泌を見る検査などが行われます。
- 血液検査
シェーグレン症候群は自己免疫疾患であるため、自己抗体があるかどうかを血液検査にて調べます。
シェーグレン症候群である場合、抗SS‐A抗体または抗SS‐B抗体が陽性になります。
- 涙の分泌を見る検査
- シャーマーテスト
目に試験紙をつけて、5分間に10mm以上濡れるかどうかを見る - ローズベンガル試験
試薬を使って、角膜炎があるかないかを見る - 蛍光色素試験
光る色素を使って、角膜炎があるかないかを見る
- シャーマーテスト
- 唾液の分泌を見る検査
- ガムテスト
ガムを10分間かんで分泌される唾液の量が10ml以下であるかどうかを見る - サクソンテスト
ガーゼを口に含んで2分後にその重さの増加が3g以下であるかどうかを見る - 唾液腺造影
造影剤を注入し、唾液腺導管の形態をエックス線で撮影する - 唾液シンチグラフィー
放射性物質を静脈注射し、それが唾液腺に取り込まれ口腔内に排泄される様子を見る
- ガムテスト
- 唾液腺生検
唇の下にある唾液腺の一部を局所麻酔下で数個摘出し、顕微鏡で炎症の状態を確認するもので、シェーグレン症候群の有用な検査となっています。
摘出により傷が残ったり、その他の障害が残ることはありません。
スポンサーリンク
シェーグレン症候群の治療
シェーグレン症候群は、現在のところ完全に治癒することは困難ですが、つらい症状を最小限に抑えたり、改善させたりすることは可能です。
病気自体は生命を脅かすような致命的なものではありませんので、上手につきあって行きましょう。
- 目の乾燥(ドライアイ)の治療
- 涙の分泌促進
炎症を抑えたり、炎症細胞の浸潤抑制のためにステロイド点眼薬が使われます。 - 涙の補充
人口涙液や角膜に必要なヒアルロン酸、コンドロイチン、ビタミンA、フィブロネクチンなどを含む点眼薬が使用されます。自己血清を採取してこれを薄めて使用することもあります。 - 涙の蒸発を防ぐ
眼鏡の枠にビニール製のカバーのついたドライアイ眼鏡を使用します。 - 涙の排出を減らす
鼻側の上下にある涙の排出口である涙点を塞ぐもので、涙点プラグで詰める方法や、手術によって涙点を閉鎖する方法があります。
- 涙の分泌促進
- 口の乾燥(ドライマウス)の治療
- 唾液の分泌促進
アネトールトリチオン(フェルビテン)、ブロムヘキシン(ビソルボン)、副腎ステロイド剤、塩酸セビメリン(エポザック、サリグレン)や漢方薬(人参養栄湯、麦門冬湯)などが使われます。薬を使用する場合は副作用に注意しながら慎重に投与します。 - 唾液の補充
サリベートや2%メチルセルロースが人工唾液として使われます。 - 虫歯の予防や口内の感染予防
イソジンガーグル、ハチアズレ、抗真菌剤などが使用されます。歯垢の除去やブラッシング、歯周病対策なども行われます。 - 口腔内環境の改善
乾燥食品や、香辛料、アルコール飲料を避け、喫煙者は禁煙します。
- 唾液の分泌促進
※シェーグレン症候群は、目の乾燥や口の乾燥のほかに、全身的な症状が出たり、他の膠原病に合併する場合があります。
それぞれに治療法がありますので、かかりつけの医師に相談してください。
シェーグレン症候群の予後は、適切な治療を続ければ10年以上たっても症状の悪化のない人が半数以上となっています。
スポンサーリンク