中高年女性に多い顔面けいれん

顔面けいれんは、片方の目のまわりの軽いピクピクしたけいれんに始まり、徐々に同じ側の額・頬・口・顎などにけいれんが広がって行くもので、「片側顔面(へんそくがんめん)けいれん」とも呼ばれます。

50歳前後の中高年女性に発症しやすく、病気が進行すると顔面全体がけいれんするようになります。


顔面けいれんの症状

最初は、片方の目の周りがピクピクとけいれんした状態から始まりますが、このけいれんは目の疲労による「顔面ミオキミア」よりも速めのけいれんです。

やがて目の周りから頬、口の端、顎までピクピクとけいれんするようになり、口がまがった状態になることもあります。

けいれんは、1回数秒から数十秒程度で治まり、痛みはありません。

命にかかわるような病気ではありませんが、人前で話をするなど、精神的に緊張するとよけいに強くなる傾向があります。

そのため、病気が進行すると外出するのがおっくうになったり、人前に出るのを避けるようになってしまうことがあります。


顔面けいれんの原因

顔面けいれんは、顔の筋肉を動かす「顔面神経」が、脳血管(脳深部の動脈)に接触し、圧迫されて生じます。

顔面神経は、ストレスが強くかかると必要以上に興奮して顔の筋肉を動かそうとするため、緊張するとけいれんが強くなる傾向があります。

50代以降になって動脈硬化が進み始めると、顔面神経と脳血管が接触しやすくなるため、顔面けいれんの症状も起きやすくなります。

病気自体は命にかかわるものではありませんが、稀に良性の腫瘍が神経を圧迫して顔面けいれんを起こすことがあるので注意が必要です。

この場合はMRI検査などを行った上で、圧迫血管を固定するなどの治療が可能です。


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顔面けいれんの治療法

顔面けいれんは、未治療のままでも命にかかわることはありませんが、日常生活に支障をきたす場合など、治療により改善することができます。

治療法として、薬物療法、ボツリヌス療法、手術の3種類があります。

  • 薬物療法
    症状が軽い場合は、飲み薬による薬物療法を行います。
    精神的に緊張するとけいれんが強くなる傾向があるため、鎮静薬や抗不安薬を内服します。薬物療法で改善が見られなかったり、めまいやふらつきなどの副作用が出る場合は、ボツリヌス療法や手術などの治療法を選択します。
  • ボツリヌス療法
    ボツニヌス療法は、ボツリヌス菌から産生される毒素を抽出して作られた製剤を、けいれんのある部分に注射するという方法で行います。
    顔面神経と顔の筋肉を軽く麻痺させてけいれんを抑えますが、効果は3ヶ月から4ヶ月に限られるという難点があります。
    注射の効果が切れると再度症状が出現しやすく、治療を繰り返す必要があります。
  • 手術
    顔面けいれんの最も根治的な治療法が、「神経血管減圧術」と呼ばれる手術です。
    全身麻酔をかけ、けいれんしている側の耳の後方から切開し、その下の頭蓋骨に穴を開けて、顔面神経を圧迫している血管を捜し、神経に接触しないように移動します。
    頭蓋骨や皮膚は縫合して元に戻し、手術を終了しますが、通常は約2時間ほどかかります。
    手術による治療法では、80~90%の人はけいれんが止まりますが、顕微鏡を用いた精密な手術であるため、熟練した医師のもとで行うことが大切です。


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